就職活動に親が口を出す意味
就職活動では、高校生、大学生に限らず親が口を出してくることが多い。
それは世間では悪いことだという印象があるが私は決してそうは思わない。
先日ある高校生と公務員試験について相談を受けた際に父親も一緒に同席をした。
父親は「私がいると話しづらいでしょうから一度席を外します」と言って自ら席を外した。
しばらくその高校生と話をした後に今度は父親を呼んでくるように伝え父親と一緒に話をした。その時は高校生に席を外してもらった。
父親からはこの子供がどういう性格で、頑張れる時、そして頑張れない時どうすれば頑張ることができるのか、ある意味でのやる気スイッチを教えてくれた。
私はこの父親の話を聞いて高校生がどういった生い立ちで育ってきたのか、そしてこの父親がどういった思いでその子供育ててきたのかがある程度理解することができた。
そして今までのことを想像しながらこの高校生に最高の支援をしてあげようというプランを考えることができた。
しかし、このプランは高校生だけの話を聞いてもできあがるものではない。親がどういった思いで育ててきたのか。そして親はどう育ってほしいのかそれを聞かないとこのプランを作ることはできなかった。
よく、世間では就職活動で「親の言うことばかり聞いて、自分の意見はないのか」と否定する大人がいる。
今回のこのケースで本当にその否定が正しいのかと感じた。
否定する意味や目的を考えると、「うちの企業に内定を出してやったんだからちゃんと来いよ。親が駄目だって言うんだから断るんじゃないぞ」そんな意味合いが隠れてはいないだろうか。
確かに就職活動の最終的な決定は本人がすべきであり親が決めるものではない。親の意見を聞いて最終的にその親の意見も振り切って自分が決めることが人生において大切だと私も思う。
しかし、内定を出す企業や就職活動を支援する大人が保護者の意見を全く聞かないというのは正しいことではないと私は思う。
その子供をどういった思いで今まで育ててきたのか、そしてどうなってほしいのか、それは今まで何十年もかけて子育てをしてきた親だからこそ本音で言えることだと思う。
つい最近知り合った学校の教員や企業の人事担当者が、親の意見を聞かないというのは高飛車なように思う。
まるで私はこの人物を一瞬で全て見抜くことができると言わんばかりである。
本当にその学生、生徒のことを思うのであれば保護者の意見をしっかりと聞くべきである。